「NGC」で広がる「社員がキャリアを自分で選ぶ」新たな文化。
ポジティブな異動で生まれた組織の強さと価値

NEC(日本電気株式会社)

2023/07

1899年の創業以来、先進的な技術で社会に貢献し日本を代表する企業として発展を続けるNEC。22,000名の社員たちは多岐に渡る業務に日々取り組んでいる。

多くの社員を支えるNEC人事部門では、早くから人材公募(ジョブポスティング)制度を構築していた。しかし、制度の利用者は限られていた。そこで、人材公募制度にヒューマンシステムの「トレジャーキャリア」を活用した「NGC(NEC Growth Careers)」を導入。すると、利用者が増加し、社内全体の活性化に繋がっている。

「NGC」を導入した経緯や運用状況、導入後の成果は一体どのようなものか。今回は、NEC人材組織開発統括部において、「NGC」を立ち上げ当初から担当している長谷川充氏、制度の浸透を担当している中原絵里奈氏の2名にお話を伺った。

社内変革を加速させた
トレジャーキャリアのスピード感

Q:導入前の課題と導入の経緯は?

長谷川氏:1990年頃から社内では人事公募制度を実施していたのですが、なかなか浸透しませんでした。2000年頃から事業がハードからソフトへ転換するなど社内構造は転換期を迎えていたものの、その転換を実行する人事・人材の変革は進まないという課題を抱えていました。「人材の多様性を活かしたい」「チャレンジできる社内環境を整備する」という背景のもと、2018年にスタートした社内のカルチャー変革が導入のきっかけでした。

Q:なぜ、トレジャーキャリアを選んだのか?

長谷川氏:何よりもスピード感があったことです。2018年の改革において、経営陣から求められたことは「目に見える変化がスピーディーに実行されること」でした。導入の相談からリリースまで半年という短期間で対応可能なことが絶対条件だったのですが、見事に要望を叶えてくれました。

また、社内に労働市場を作ることがキーコンセプトになっていたため、「固定概念に捉われず、社外で一般的に使われているUIや業務プロセスの仕組みを社内にインストールしたい」という目的に対して、大手転職支援サービスのシステムを長年経験しているなど人材系に専門性のあるHS社の知見やノウハウ、それに基づく提案が魅力的でした。

幅広い年齢層が「NGC」を活用し
拡大するキャリア転換の輪

Q:誰が利用しているのか?

中原氏:幅広い世代の社員が利用しています。サービス導入当初は20~30代の若手社員の利用が多く、もともと社内公募制度はあったものの、制度のリニューアルとシステム導入が背中を後押しする形となり利用者が急増しました。人事部門としての課題は、若手だけでなく経験を重ねた人材のキャリア転換を活性化することでもありましたが、最近ではシニア層の利用も拡大しポジティブな結果になっています。

Q:社員の成長機会は?

長谷川氏:成長というと、今の業務を突き詰めるという発想になりがちです。もちろんそれも重要なのですが、ものを売ることから価値創造や価値提供が重視される中で、社員22,000名の人材が多様に入れ替わり人材の交流が生まれることが新しい価値を生むドライバーになり、社員にとっても組織にとっても大きな成長の機会に繋がっています。

Q:新たなビジネスチャンスは?

長谷川氏:例えば、顧客の現場で今起きている課題への理解が、提案する上で重要な要素となっていて、もともと営業職やSE職だった人材がコンサルタント職に異動したケースなどでは、過去の経験からまさに現場のリアルな課題を理解しつつ確実に提案することで顧客との信頼関係が強まり、新たなビジネスチャンスを生み出すきっかけとなっています。

自分で選べるキャリアは
新たな価値創造のモチベーションに

Q:導入後に達成した指標は?

長谷川氏:適時適所適材の人材配置を目指す上で会社全体のポジションが見える化され、社員自らが手を挙げて挑戦するという文化にすることが目標でした。導入後に達成された定量的な成果としては、もともとの人材公募制度からサービス導入後1年で異動数は2倍に、4年目の現在は3倍程度の規模まで増えています。NGC利用者のポテンシャルとしてそのくらいの人数の増加があったと考えることができ、「社員1人ひとりが、社内で未来のキャリアを描きチャレンジする」という目的達成に貢献しています。

Q:社員の自発意識の変化は?

中原氏:以前は社員が自分の所属する部署以外にどんな仕事があるか、情報を求めていても見えない状況だったんです。キャリアアップについて上司に相談しても、上司が知っている範囲内でしか選択肢が示せないことも多かったです。しかし、「NGC」の導入によって社員が自分で情報を入手できるようになり、自身のキャリアを考える幅も広がりました。本人が自分の意思で主体的に選んだ新しい職場では、モチベーションを高く持って働くことができています。

Q:導入後の職場での変化は?

中原氏:制度を利用した社員を受け入れる側の体制も重要であり、受け入れる職場におけるインクルーシブな組織意識の高まりに繋がっています。また、自身は制度を使っていないけれど、制度を使って自分のチームに入ってきた社員が増えたことで組織全体の活性化に繋がっています。これまでは、人事部門が活用を訴えても一方通行でしたが、制度を活用した社員から自発的に良さが広がっているため、自然と浸透する文化になってきています。

変化を乗り越えた先にある強い組織

Q:サービスの満足度やアフターサービスは?

中原氏:社員から人事制度の内容について質問を受けることはありますが、システム自体はどの社員もスムーズに活用しています。また、システムで何か不具合が発生しても、リアルタイムで対応していただけるので安心です。

Q:異動によるトラブルは?

長谷川氏:「社員が主体的に異動先を決める」ことは、これまでの慣習や価値観とは異なります。NGCで異動すると人事評価が下がるのではないかという意見もありますが、制度を活用し人材が成長していくことは組織を超えて会社にとって大きなメリットがあるということが全体に浸透しはじめ、そのような意識も変わってきています。

Q:社員と組織の関係性に変化は?

長谷川氏:社員と組織の関係性は、よりオープンでフェアなものに変わっていくと考えています。組織にとってこの仕組みは自部門からの人材の流失を伴うため、組織の求心力を高める意識の醸成に繋がっています。一方、社員にとって公募制度の利用は、ある部分では責任を伴うことになります。つまり、いつ、どのタイミングで次のキャリアに挑戦するのかについて、社員1人ひとりが考え責任を持って今の仕事に取り組み、その上で異動していくというサイクルによって、会社全体に強さが生まれました。

すべての社員にとって
当たり前に寄り添える人事制度へ

Q:今後の展望や目指す未来は?

中原氏:導入当初から変わらない目標ですが、社員にとって、NECグループで自分が異動するときは「NGC」を使うことが当たり前になる姿を描いています。また、異動の時に制度を活用するだけでなく、次にどんなチャレンジをするかを考え、潜在的な意識を持つことにも、この仕組みを活用してもらえるようにしたいです。

Q:さらなる活用方法は?

長谷川氏:現在社内ではジョブ型人事制度というコンセプトで、人事のエコシステム全体の変革に取り組んでいます。この中で公募による異動、社員が「自分で仕事を選ぶこと」が、まさに全体の人事制度の仕組みをジョブ型に転換していく上で重要なパーツです。例えば、「ジョブを登録すると、通知が届くシステム」など、仕組みを進化させながら「NGC」をさらに活用し続けていきたいです。

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